鳥栖未来計画パネルトーク 視覚伝達デザイン編


こんにちは。最近暖かい日が続き、春の訪れを感じますね。本日は鳥栖未来計画成果展にて行われたギャラリートークのうち、視覚伝達デザイン領域のトークを文字に起こしました。未だ勉強中の学生であるため拙い部分もあるかと思いますが、普段意識されることのない文字のデザインについて少しでも興味を持っていただければ幸いです。


鳥栖未来計画とは?

鳥栖未来計画(以下、「本計画」)は佐賀大学の学生による任意団体Make-Senseが鳥栖市議会自民党鳥和会の依頼により実施する鳥栖市中心市街地の都市空間再編計画です。本計画では都市デザインや視覚伝達デザインの学生が協働し、JR鳥栖駅の駅高架化を前提とした鳥栖駅周辺の都市空間再編について提案しています。※弊チームのホームページに移動します。


はじめに

こんにちは。視覚伝達デザイン専攻生の小澤と申します。(中略)鳥栖未来計画において私たちが目指しているのは「鳥栖駅周辺の再開発に対する提言を行うこと」「市民の皆さんと相互に意見を交わし、鳥栖の将来を考えること」の二つです。視覚伝達デザイン領域は、主に後者を担当します。

私が都市計画分野で問題であると感じるのは、その専門性ゆえの敷居の高さです。私は門外漢ですから、特に最初は高桑(都市計画領域)の言っていることの半分も理解できませんでした。たくさんのカタカナ語、専門用語、小さな文字がぎっしりと並び、かつ不必要にカラフルな都市計画提案の資料たち…よほどの興味と知識がないと読み込むのは難しいだろうと思います。一方で、自分の住む街についての議論ですから、できる限り全市民が知るべき情報であるとも感じます。


これらの問題を解決するのが私の仕事です。そのために


◉瞬時に鳥栖のことが理解できる模型

◉読みやすい/読み疲れないパネル


の制作を心がけました。


模型制作について

模型ついては専門ではないどころか素人同然ですので、語ることのできる部分はあまり多くありません。基本的に3Dデータは航空写真やGoogleマップ、現地調査といった目で見た鳥栖と、建物の階数情報や床面積といったデータで見る鳥栖とを組み合わせて制作しています。

展示風景/一点照明で陰影を強調

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この模型は佐賀大deラボ様のご協力あっての作品でした。仕組みは未解明のままなのですが、今回は補助剤なしで建物が印刷できています。これは非常にありがたいことで、模型表面にバリが発生せず、思い描いた通りの形で制作できているのです。試作1号と比べると随分垢抜けた印象になりました。※下の写真は最初に印刷された模型(バリ剥がし前)と試作3号です。

佐賀大deラボは定期的に見学会を開催している上に佐賀大学生は無料で制作が可能とのことなので、いちど覗いてみるとみなさんの制作の幅が広がると思います。


【関連リンク】佐賀大deラボHP


パネル制作について

ようやく専門領域の話になってきました。まずお話ししたいのは書体についてです。本パネルでは游明朝/游ゴシック/Futura(フツラ)/Garamond(ギャラモン)を使用しています。これらの書体全てにはきちんと選んだ理由があります。


わかりやすいのはFuturaですね。これは英語のFutureにあたるラテン語です。安直ではありますが、鳥栖未来計画の未来にかけました。もちろん現代的/幾何学的なデザインの書体であることも理由です。また、現在鳥栖にスタジアム建設を計画している久光スプリングスのポスターに多用されていることも理由の一つです。予想はしていませんでしたが、最近はさらにサガン鳥栖のポスターにもFuturaが使用されはじめていました。私の勝手な予想ですが、鳥栖は今後Futuraに溢れた街になるのではないでしょうか。鳥栖未来計画はそこにうまく馴染んでくれそうだなと感じています。


游シリーズは、この書体を手がけたデザイナー鳥海修(とりのうみおさむ)さんが「日本人にとっての米のような、水のような」書体を目指してデザインされていらっしゃることが理由です。鳥栖の未来は輝かしいものであるだろうけれど、一方で今の日常の延長上にあるんだよ、という意味を含ませたつもりです。図版がメインになるため、主張が抑えられた本文書体にしたかったことも理由に挙げられます。


もちろん、Illustratorの基本書体(注 ソフトを購入した時点で収容されている書体)であるために団体内で共有しやすいというのも大きな理由の一つですが…お金が湯水のようにあれば、書体の購入を行いたかったですね。個人的には新ゴやA1明朝(注 新ゴシックは「デザイナーたちを救った」と評されることもあるほど本文で組んだ際にバランスの良い書体。A1明朝は「君の名は。」「天気の子」などに使われた、美しい墨溜まりのある書体。)などに触れてみたかったなと思います。


書体の次は、最近やっと覚えたグリッドシステムについてです。スイス発祥の、縦横に引かれた補助線に沿って要素を配置する方法です。一度誌面を設計してしまえば組み方の違いはあれど、どのページも統一感を持って仕上げることができます。実際に設計してみて、ミスを減らしたり、より早く作業することが可能だなと感じました。もちろん、綺麗に揃いすぎるとお堅い印象になるので本当はあえてずらして配置をすることも必要になるのですが…この辺りは今後の課題としたいと思います。旧ソ連ではこのグリッドシステムに対抗して、全く補助線のない自由奔放なデザインが流行したとも聞いたことがありますし、まだまだ調べてみたいところです。


鳥栖未来計画 デザイン
本文22pt 行送り41ptで分割

なお、これらのパネルは全て木製パネルに水張り(注 紙を水でふやかした状態で固定し、縮みながら乾いてゆく過程でピンと貼るやり方。水彩画で多用される)をしています。ハレパネ(注 のり付きの発泡プラスチックパネル)に比べて耐久性が高く、綺麗に仕上がるために非常に良いなと感じています。紙の目によって伸縮率が違うため、貼る作業は余白を確認しながらの大変なものとなりました。教授いわく、本来は樹脂由来の、伸縮しない紙に印刷してパネル化するのだとか。もちろん高価な紙ですが、いずれ使ってみたいものです。


時間が足りません…!他にも読みやすいように1行の文字数や行送り、文字詰めを調整したり、紙面をmmではなくptで設計したりと色々試しているのですが…!今回はこの辺りで、都市計画領域の高桑に譲ろうと思います。ご清聴ありがとうございました。


おわりに

グリッドから地図のピクセル数を算出

以上が視覚伝達デザイン領域のギャラリートークとなります。デザインは「発想力」「才能」で作るものだと思われがちですが、同じくらいに書体/組版/紙/色彩といった知識も大切なのだと痛感しました。デザインは感性だけで成り立つものではなく、技術・論理的なものでもあるのです。


本計画では研究者と市民の橋渡し役として、今後も試行錯誤しながら勉強してゆこうと思います。次回は本計画の本題、都市計画領域のギャラリートーク(前編)をお送りします。お楽しみに!




展示に関する問い合わせ先: makesense.official2019@gmail.com


展示責任者:高桑 正誠,小澤 健(Make-Senseプロジェクトディレクター)

 

Make-Senseとは?

佐賀を拠点に活動する学生プロジェクト&デザインチームです。佐賀大学芸術地域デザイン学部の学生が中心となって活動しています。佐賀を拠点にイルミネーションデザインから都市計画の提案プロジェクトまで幅広い分野で活動しています。詳しくは弊チームホームページをご覧ください。


Make-Sense活動情報


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